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◎遺贈は自由に行える?

◎遺贈は自由に行える?

こんにちは、行政書士補助者の芝田楓です。

もうすっかり散ってしまいましたが、皆様は今年の桜を見納めできたでしょうか。
コロナ渦でなかなかお花見はできませんが、見つけると嬉しくて写真に収めていたので、また来年満開の桜を見られるのが今から待ち遠しいです。

さて今回は、遺言を書く際、また遺言に沿って相続する際に見落としてはならない「遺留分」についてのお話をしようと思います。

遺留分とは

遺言によって財産を譲り受ける、すなわち「遺贈」を受ける人(受遺者)は、親族でも親族以外の方でも問題ありません。つまり、遺言によって本来は相続人になる権利のない人にも正式に財産を渡すことが可能になるのです。しかし、法定相続人である配偶者、子、直系尊属には「遺留分」と呼ばれる一定の取り分が保証されており、もし受遺者がこれらの方から財産を分けるよう請求された場合には、拒否することができません。遺言作成を考えていらっしゃる場合、ご自身の財産総額と記載する財産の額、そして受遺者から法定相続人に支払う遺留分の金額まで把握しておくことがとても重要です。

【遺留分の割合】
・法定相続人が配偶者のみ・子のみ……全相続財産の1/2
・法定相続人が配偶者+子(あるいは直系尊属)……全相続財産の1/2
・法定相続人が配偶者+兄弟姉妹……全相続財産の1/2(受取は配偶者のみ)
・直系尊属のみ……全相続財産の1/3
・兄弟姉妹のみ……なし  

上記の遺留分を、定められた法定相続分(⇒1番下のリンク「財産は何等分すべき?」から読むことができます)に従ってさらに法定相続人で分け合う、という形になります。また、第3順位である兄弟姉妹には、遺留分請求の権利がありません。遺族の生活を最低限保障する、といった観点から、相続人により近い存在である配偶者、子、直系尊属にのみ与えられた権利となります。なお、あくまで権利であるため、相続人が請求の意思を示さない場合には、遺言通りに相続を行うことが可能です。 

そして、遺留分算定のもとになる財産は、被相続人が死亡時に持っていた財産に加えて、相続開始日(亡くなった日)の前1年間になされた贈与も無条件で含まれます。そして、相続人の中で特別受益(開業や結婚の資金支援、遺贈など)を受けている場合、それらも対象になるため、注意が必要です。
もし、この贈与や遺贈が原因で相続人が遺留分を侵害され、取り分が足りなかった場合には、「減殺請求」によって、受遺者や受贈者から財産を取り戻すことができます。

次回のブログでは、この減殺請求について例を挙げながらご説明いたしますので、読んで頂ければ幸いです。



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